当院では、日本高血圧学会の最新ガイドライン(JSH2025)に基づき、高血圧の診断と治療を行っています。診察室血圧140/90 mmHg以上、家庭血圧135/85 mmHg以上を基準としつつ、すべての成人において目標血圧は一律で130/80 mmHg未満とされています。特に家庭での血圧測定(家庭血圧)の活用が重視されており、当院でも継続的な家庭血圧の記録を推奨しています。
治療では、まず減塩や運動、体重管理、禁煙などの生活習慣改善に重点を置き、日常生活に取り入れやすい具体的な方法をご提案します。これに加えて、必要に応じて薬物療法を行い、カルシウム拮抗薬、RAS阻害薬(ACE阻害薬・ARB)、利尿薬などから、患者様の体質や合併症に応じて適切な薬剤を選択しています。なお、糖尿病合併患者に対する薬剤選択に関しては、従来よりも柔軟な対応が可能となりました。
また、日本ではサクビトリル/バルサルタン(エンレスト)が高血圧に保険適用されていますが、現時点ではその使用を支持する十分なエビデンスが乏しく、国際的なガイドラインでも高血圧に対する使用は推奨されていません。当院ではこの点を重視し、エンレストの使用には引き続き慎重な姿勢を取っています。JSH2025では、血圧管理の目標が明確化されただけでなく、患者様自身の行動変容やチーム医療による支援の重要性も強調されています。当院では、患者様一人ひとりの生活に寄り添った無理のない血圧管理を心がけています。
最新のガイドラインと治療への対応: 当院では、日本糖尿病学会の最新ガイドラインを基に、患者様一人ひとりに最適な治療計画を提供しています。血糖値管理、合併症予防に重点を置きながら、新しい治療法や薬剤にも積極的に対応しています。
新規薬剤を活用した治療: 週一回投与のインスリンやGLP-1受容体作動薬といった新しい治療法を取り入れ、患者様の負担を軽減するとともに、より高い治療効果を目指しています。これらの最新薬剤を使用することで、治療の柔軟性と持続可能性を高めています。
リブレでの継続的な血糖管理: 当院では、継続的血糖モニタリング(CGM)システムであるリブレを活用し、患者様の血糖状態を詳細に把握しています。これにより、治療効果をきめ細かく評価し、データに基づく的確な治療調整を行っています。
生活習慣改善と包括的サポート: 食事療法や運動療法を柱とし、患者様に合わせた生活改善プランを個別に提供します。日本のガイドラインに基づくアプローチとともに、外国の体重管理や薬物療法を補完的に参考にし、最適な治療を実現します。
合併症予防を重視: 糖尿病による心血管疾患や腎疾患などのリスクを最小限に抑えるため、患者様の健康状態を総合的に評価し、予防策を講じています。
患者様中心のケア: 最新技術と医療の知識を組み合わせ、患者様との信頼関係を重視した丁寧な説明を通じて、納得いただける治療を行っています。
副鼻腔炎治療におけるエビデンスに基づいたアプローチ 当院では、ステロイド点鼻薬を積極的に活用する治療方針を採用しています。この選択は、国際的な研究やガイドラインに裏付けられたエビデンスに基づいており、患者様に最適な治療を提供することを目指しています。
1. ステロイド点鼻薬の有効性
ステロイド点鼻薬は、副鼻腔炎の炎症を効果的に抑制し、症状の改善に寄与することが多くの研究で示されています。例えば、慢性副鼻腔炎に対するコクランレビューでは、鼻閉や鼻漏などの症状を改善する効果が確認されています。また、鼻ポリープを伴う副鼻腔炎患者においても、ステロイド点鼻薬が症状の緩和に有効であることが報告されています。
2. 日本の治療慣習との違い
日本では、マクロライド系抗生剤や去痰剤が頻繁に使用される傾向がありますが、これらの治療法は国際的なエビデンスに基づいていない場合が多いです。さらに、画像診断が過剰に行われることもあり、患者様に不要な負担をかける可能性があります。当院では、これらの慣習にとらわれず、科学的根拠に基づいた治療を提供することを重視しています。
アトピー性皮膚炎への総合的アプローチ 当院では、局所治療で効果が得られない中等症以上の患者様に対し、全身治療としてデュピクセントやリンヴォクを導入しています。これらの治療は、患者様一人ひとりの症状やライフスタイルに応じて慎重に提案されます。
デュピクセント(デュピルマブ)は、IL-4およびIL-13経路を抑制することで炎症を軽減します。高い有効性が認められ、皮膚症状のみならず喘息や鼻炎などの併発症状にも効果を発揮します。しかし、結膜炎や局所の痛みが副作用として挙げられるほか、費用面での負担が課題となる場合があります。
リンヴォク(ウパダシチニブ)は、JAK阻害剤として炎症性サイトカインの産生を抑制します。迅速な症状改善が期待でき、内服薬としての利便性がありますが、感染症のリスクが増加する可能性があり、特に結核やヘルペスウイルスへの注意が必要です。また、長期使用に関するデータがまだ蓄積中であるため、継続的なモニタリングが必要です。
脂質異常症への包括的アプローチ 当院では、日本動脈硬化学会のガイドラインを遵守し、脂質異常症に対する高水準の診療を行っています。LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪などの詳細な評価を基に、患者様の個々のリスクに応じた目標値を設定。さらに、アメリカのガイドラインも活用し、特に集中的な治療が求められるケースにも対応しております。
最新の検査技術の提案 エビデンスに基づいて推奨されるものの、保険適用外となる新しい検査項目についても積極的にご提案いたします。これにより、診断の精度をさらに向上させ、患者様のニーズに応える最適なプランを提供します。
最先端薬剤による治療の革新
家族性高コレステロール血症など、従来の標準治療では効果が得られにくい患者様には、PCSK9阻害薬(例:レパーサやレクビオ)などの最新薬剤を活用。これにより、治療の選択肢を広げ、画期的な結果を実現しております。
当院では、睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の診断と治療において、最新のエビデンスと患者様一人ひとりに合わせた丁寧なアプローチを提供しています。簡易検査は二日間にわたり実施し、必要に応じて在宅睡眠ポリグラフ検査を提案し、負担を軽減しながら正確な診断を行います。
CPAP(持続陽圧呼吸療法)は、心筋梗塞や脳梗塞の予防効果がないとされてきましたが、最近の研究では1日4時間以上の使用により心疾患への予防効果が示されています。さらに、CPAPが全死亡率を37%、心血管死亡率を55%低下させる可能性があるとの報告が注目されています。
CPAP治療はまた、睡眠の質を改善し抑うつ症状を軽減する効果があることが明らかになっています。さらに、胃食道逆流症(GERD)の症状を緩和する効果も確認されており、慢性気管支炎や咳のリスク低下にも寄与することが示されています。
当院では、こうした最新情報を基に治療を提案し、患者様の生活の質向上を支援しています。診断から治療に至るまで、患者様のライフスタイルやご希望に寄り添い、安心して治療に取り組んでいただける環境を整えています。
当院では、膀胱炎の診療において、欧米のガイドラインに基づく治療アプローチを採用しています。日本ではニューキノロン系抗生剤が第一選択として使用されることが一般的ですが、これに対して耐性菌の増加や長期的な影響への懸念が存在します。欧米では、ナイトロフラントインやフォスフォマイシンなどが第一選択薬として推奨されており、当院では可能な範囲でこうした国際的な根拠を参考にしつつ、患者様に最適な治療法を提案しています。
さらに、当院では患者様が拒否されない限り、培養検査を実施しています。この検査により、感染原因菌を特定し、それに最も効果的な抗生剤を選択することで、治療の精度を向上させています。これにより、抗生剤の不必要な使用を避け、耐性菌の発生を抑えることにもつながります。
膀胱炎の治療において、エビデンスに基づく診療と患者様一人ひとりに合ったアプローチを大切にし、安心して治療を受けていただける環境を整えています。
当院では、病気の予防と健康の維持を目指したウェルネスプログラムを通じて、患者様の未来の健康をサポートしています。このプログラムは、さまざまな健康リスクを事前に軽減し、安心して日常生活を楽しむための総合的なケアを提供します。
1. ピロリ菌の検査・治療 胃がん予防のために、最新の胃カメラ(胃内視鏡)を使用してピロリ菌感染を確認し、必要に応じて除菌治療を行います。ピロリ菌除菌は胃がんリスクを著しく低減することが科学的に証明されており、当院ではその重要性を患者様にお伝えするとともに、丁寧な診療を提供しています。
2. 骨粗鬆症の予防と管理 骨密度の評価とともに、エビデンスに基づいた治療薬を提案し、骨折リスクの低減をサポートします。科学的根拠に反した治療を受けている患者様も見受けられる中、当院では信頼できる治療を提供し、不安があればいつでもご相談いただけます。
3. ワクチン接種 肺炎球菌ワクチンをはじめ、RSウイルスワクチンなど、最新の予防接種情報を提供し、患者様に最適なタイミングで接種を行えるようサポートしています。また、ワクチンをより多くの方に受けていただくため、当院ではリーズナブルな料金で提供しています。何を何歳で接種すべきか分からない方も、お気軽にご相談ください。
4. 禁煙外来 禁煙は長期的な健康維持のための重要なステップです。当院では、医療的アプローチと心理的サポートを組み合わせた禁煙プログラムを提供し、患者様がスムーズに禁煙を達成できるよう支援します。
5. 健康への総合的なサポート これらのプログラムを通じて、患者様の健康状態を総合的に支援します。当院では、予防医療の重要性を患者様と共有し、エビデンスに基づいた最新の情報をお届けすることを目指しています。
当院では、炎症性粉瘤、切創(深い切り傷)、熱傷(やけど)に対して最新の医療技術とエビデンスに基づいた治療を提供しています。
炎症性粉瘤の治療では、やみくもに切開排膿を行うのではなく、まず超音波検査により膿の貯留を確認した上で、必要な場合のみ切開排膿を実施します。この慎重なアプローチにより、無駄な処置を避け、患者様の負担を軽減します。
また、縫合が必要な深い切創にも対応しており、傷口の適切な処置を行うことで、感染症の予防と早期回復を目指します。医療的に必要なすべての手順を丁寧に行い、安心できる治療環境を提供します。
熱傷(やけど)に関しても、国際的なエビデンスに基づいた治療を採用しています。傷の深さや範囲を正確に評価し、それに応じた適切な治療計画を立てます。患者様の早期回復と皮膚の健康を最優先に考え、最善のケアを提供します。
当院の外科的処置は、常に患者様の安全と治療効果を重視し、専門的かつ丁寧な対応を心がけています。不安やご相談がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
当院では、慢性咳嗽(長期間続く咳症状)の診療において、幅広い原因を考慮し、患者様一人ひとりに合った丁寧な診療を行っています。咳症状は、単なるかぜや気管支炎だけでなく、喘息、逆流性食道炎、副鼻腔炎など多岐にわたる疾患が原因となることがあります。
当院では、症状や病歴の詳細な問診を基に、必要に応じてレントゲン検査を施行し、結核など重大な疾患を慎重に否定するプロセスを徹底しています。また、新薬の登場により、慢性咳嗽に対する治療選択肢が広がっていることから、最新のエビデンスに基づいた治療を積極的に提案しています。
咳の症状の軽減だけでなく、根本原因へのアプローチを重視し、患者様の生活の質を向上させることを目指しています。長引く咳にお悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。
当院では、不安神経症や不眠症などの心の健康に関する問題に対応し、患者様が抱える悩みや症状に真摯に向き合います。心の問題は、身体的な症状や生活の質に直接影響を及ぼすため、早期の評価と適切な治療が重要です。
不眠症への対応 不眠症は、ストレスや生活習慣、さらには体の健康状態などが複雑に関係する疾患です。当院では、患者様の睡眠に関する問題を総合的に評価し、認知行動療法や環境改善のアドバイス、必要に応じた薬物療法を提案します。快適な睡眠環境を整え、質の高い睡眠の確保をサポートいたします。
不安神経症の治療 日常生活に影響を及ぼす不安神経症については、患者様との対話を重視し、カウンセリングや薬物療法を通じて症状を軽減します。治療は患者様一人ひとりに合わせた形で行い、心の平穏を取り戻すお手伝いをします。
メンタルヘルスケアの重要性 心の健康は、身体的な健康にも影響を与える重要な要素です。当院では、患者様が抱える心の悩みについて理解し、安心して治療を受けられる環境を提供します。メンタルヘルスの問題に関するご相談は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
当院では、日本骨粗鬆症学会が2025年に発表した最新の「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン(GL2025)」に基づき、診断と治療を行っています。これは約10年ぶりの大幅改訂であり、最新の研究成果を反映した内容となっています。骨粗鬆症は「骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気」です。特に高齢者や閉経後の女性では、椎体骨折や大腿骨近位部骨折が生活の質に大きく影響を及ぼすため、早期発見と適切な治療が重要です。
ガイドライン2025での主な変更点
*薬剤選択の柔軟化:これまでの段階的治療から、骨折リスクの高い方には初期から**骨形成促進薬(ロモソズマブ、アバロパラチド)や年1回の静注ビスホスホネート(ゾレドロン酸)**など、より効果的な薬剤を積極的に使用できるようになりました。
*システマティックレビューによる推奨:科学的根拠に基づく臨床疑問(CQs)に対し、明確な推奨が示されています。
*FRAXを活用した骨折リスク評価:骨密度の有無にかかわらずリスクを数値化し、治療開始の判断に役立てます。
***ステロイド性骨粗鬆症やがん治療後の骨減少症(CTIBL)**への対応も強化されました。
海外との違い(米国・欧州との比較)
*アメリカ(NOF)では主にFRAX 10年骨折リスク20%以上などの明確な数値基準を用いて治療開始を判断しますが、日本ではより柔軟で患者背景に応じた対応が可能です。
***欧州(ESCEO-IOF)**はロモソズマブやデノスマブを積極的に推奨していますが、日本では薬剤の保険適用や安全性の観点から、より段階的かつ慎重な使用指針が採られています。
また、日本ではビタミンD欠乏や低カルシウム摂取が多い背景から、生活習慣改善の指導にも重点が置かれています。
当院での取り組み
当院では、骨密度測定(MD法)や血液検査による評価に加え、患者様一人ひとりの骨折リスクを評価し、ライフスタイルに合わせた治療を提供しています。薬物療法だけでなく、栄養・運動・転倒予防など生活面でのサポートも行っています。「骨粗鬆症は予防できる時代」です。健康な骨を保ち、元気に日常生活を送るために、ぜひ一度ご相談ください。